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里親へのインタビュー

里親へのインタビュー
【養子縁組里親】
Aさんご夫婦(夫:Rさん40代  妻:Sさん40代)
Nちゃん(2歳10ヶ月)
※2024年2月現在の年齢

自分が生んだ子に限らず、今いる子どもたちを大切にする

韓国出身のRさん(夫)と国際結婚されたSさん(妻)ご夫婦に迎えられたNちゃん。大人っぽい表情にきちんとした挨拶で迎えてくれました。
Nちゃんと出会ってからの心境や生活の変化、また真実告知についてや子育て観についてお話をお聞きします。

 

里親になられたきっかけを教えていただけますか。

妻:
ぼんやりとですが、元々興味があるタイプだったんです。中学生の時から虐待など、そういう本を読んでいて。里親というのも良いよねって思ってたんですけど、実際結婚したら妊娠が難しいことが分かって。
それで不妊治療というか多少病院に通ったこともあったんですが、それと同時に「里親はどうかな?」って話を私から主人に話をしたら「いいんじゃない?」っていう返事でした。
夫:
妻の妊娠の確率が低いことが分かって、不妊治療も大変でした。そこまでやるんだったら「里親もいいんじゃない?」って妻から話があったとき、私も同じ気持ちでした。
妻:
時間を使って週に何回も通院して、でもなかなか成果が得らなくって…。
これはもう、この道じゃないってことなんだろうなという考えになって、 じゃあ里親について実際に話を聞いてみようか、みたいな流れでしたね。
色々調べて、入門講座に参加したと思います。それで、興味ある方は次のステップ進んでくださいということだったので、その流れに乗った感じですね。参加してみて、早めに来てよかったって思いました。
うちは不妊で半年くらいしか治療をやっていなくて、やっぱり複雑な思いはありますけど、やっぱり子育てが経験できたらね、まぁ、もういいかな。子どもって未来じゃないですか。このまま夫婦ふたりだけより子どもがいると未来を考えられるんですよね。
夫:
喧嘩とかしても、Nちゃんが来てから雰囲気が変わったよね。
妻:
そうだね。やっぱりこれからの人生、子どもの成長を見るのが喜びになるみたいなのがあったらいいんじゃないかなって。 自分が生んだ子に限らず、社会的養護を必要としてる子どもたちを大切にするっていうところも、必要なのかな、っていう考え方ではあったりします。 子どもを迎え入れるにあたっては、確か…3歳ぐらいまでの年齢を希望しました。そんなに大きい子のイメージがあまりなくて。 その後、登録して2年後ぐらいに児童相談所から紹介の連絡が来て、すぐにネットで色々ポチポチ買い物の注文をしました(笑)
仕事もしていたのですが、ご縁だし、会社には伝えていたので育休を使ってNちゃんとの交流を進めて、委託になってからは育休で1年お休みをしました。コロナ禍で、在宅勤務ができるようになったり、主人の会社は完全在宅になったことも大きかったですね。私も今では復帰して、現在もフルタイムで仕事を続けています。

交流が始まってどうでしたか。

妻:
最初は乳児院で会ったのですが、コロナ禍で直接触れあえなかったんです。ニコニコしてたのは覚えてますね。最初会ったとき、とても可愛いとは思ったんですけど、私はこの子に会うために生まれてきたんだ、ぐらい感動的な感じになるのかなって思ってたんですけど、なんていうか『私の子』っていう実感は無くて…
夫:
そうだったね。コロンと寝てる姿を見て、まだ心の準備が追い付いてなかったのか、感動というよりは可愛いという気持ちでした。
妻:
そう、思っていたような感動的なものではなくて。これはちょっと自分がおかしいのかなと思って、モヤモヤしてたんですよね。それで里親さんたちに相談してみたら同じような方もいて。だから、最初感動がなかったらマズイとか、そういうのではなく、時間をかけていくことで作られるものなのかなって、思うようになりました。そこから交流が始まりますが、相手は赤ちゃんなので、まずミルクのあげ方や爪切り、あと、お風呂とかみたいな感じで、お世話の仕方を教えてもらいました。
夫:
そういう関りをしていくうちにNちゃんが、すごく可愛いと思う気持ちがより強くなりました。「いやー、うちの子可愛いな~」みたいな感じになってきたんですよ。実際に自分がお世話をしないと、こちらの愛情もちゃんと伝わらないじゃないかなと思いましたね。
妻:
それでも正直、まだ私にはそんなに余裕はなかったですね。ケガさせちゃいけない、守らなきゃいけないという感じだったので(笑)
それから3ヶ月弱ぐらいの交流期間を経て、一緒に暮らすようになりました。
夫:
コロナ禍だったので、私たちもなるべく在宅するような形で。
どこかに出かけるときも駅まで行くのにちょっと歩くのですが、風邪ひかないように心配してタクシーで行ったり。
妻:
そういうのもありましたね。そこからあっという間に2年経ちますね。

一緒に生活してみて生活の変化などはありましたか。

夫:
私の変化は、朝早起きになりました(笑)
夫婦だけのときは朝ゆっくり寝ていても全然構わないじゃないですか。それが今は子ども中心ですよね。
妻:
「パパ起きて」って言われるもんね(笑)
私は早く寝るようになりましたね。9時ぐらいに一緒に寝ちゃって。で、朝はちょっと早めに起きるみたいな感じになりました。
夫:
あと外で遊ぶのが増えましたね。
妻:
そうだね。子どもと遊べるところを探したりね。
夫:
子ども優先になったよね。
妻:
それもあるけど、どっちかって言うと私は子どもを優先で考え過ぎると辛くなるんじゃないかな、と思っていて。私自身、家の中にずっと居るのは結構辛くなってしまうので、県内都内、色んな所に一緒に出かけました。近場でも公園や図書館に連れて行ったり、栃木にいる母が、ちょっと東京に遊びに行くと聞くと、必ず一緒に連れて行きましたね。
やっぱり出掛けるためには色々準備が必要で、行った後もちょっとフレキシブルに考えないといけない。だからきっちり計画 を立てすぎると、逆に辛くなっちゃう。なのでその辺りはいい意味で適当に手を抜きながらやろう、みたいな感じです。

大人にとっての当たり前も子どもにとっては大冒険ですよね。

妻:
色々連れ出していたからか、言葉を覚え始めたころから「じゃあ、そろそろ、いこうか~」って言うようになって(笑)
夫:
そうそう。「今日予定無いけど、どこ行くの?」なんて言われたり(笑)
妻:
連れて行ったことによって、外遊びが好きになって、新しいことに興味を持つようになったところはあるのかな。
でも子どもの将来のイメージは夫婦で同じかな。
夫:
周りもよく見ているよね。私がスマートウォッチを使って改札を通る姿を真似てみたり。
妻:
うんうん。公共交通機関をよく利用していたので「電車も静かに乗れるね。」なんて声を掛けられたりもして。マナーも身についたかな。

ご夫婦での変化はありしたか。

妻:
まあ、喧嘩ですかね、やっぱり。
夫:
そう…だね(苦笑)
妻:
生活習慣の違いですね。私は早めに起きるタイプで、Nちゃんも早起き。でも主人はまだ寝てたりすると「もう!」みたいに思っちゃう。多分お互いそういうのはあるんじゃないかな。でもこの子を育てていることによって、それまではそんなに気になってなかった、気になっても流せてたことが(いや、彼女の見本にならないとな)って思うようになって、話し合いが始まると喧嘩になっちゃいますね。
あと考え方の違いかな。例えば家事も「これやってみる?」って教えながら一緒にやれば、本人のできることも増えるし結構上手にやってくれるんですよね。だけど主人は自分でやった方が早いからってひとりでやっちゃったりする。
大人2人だけだと、別にあなたがしたいようにしてもいいんじゃない、とは思いますけど、子どもについての考え方は些細な違いが結構大変ですね。
夫:
妻は現実的なんですよね。子どもがまだできないことをちゃんとできるように、まだ覚えてないことをちゃんと覚えられるように、自分で色々できるようになってほしいっていうのがあるんですけど。私は逆で全部自分でというよりは(やってあげなきゃ)と思うんですよね。
妻:
そうですね、主人はやってあげたいんですよね。私は自分でやってごらん、って思うタイプ(笑)

Nちゃんにとってはバランスがいいですよね。

妻:
そうですよね(笑)
日常も私が叱ることが多くて、主人が「そんなこと言わなくたっていいじゃん!」みたいな。
おいしくなあれ♪

子育てで意識していることはありますか。

夫:
私は、とにかく怪我をしないようにすることですかね。とにかく健康に過ごせるように、何かあれば病院にいって、安心して暮らせるようにと、思っています。
妻:
そうですね、自分のことは自分でできる人になってほしいな、と思っています。自分の人生だから、やっぱり自分で決断することってたくさんあるじゃないですか。 やっぱり小さい頃からでも、何をしたいのか、何が好きなのか、そういうのを自分で選べる人であってほしいし、選んだ結果は自分でちゃんと責任を持てる人にはなってほしいな、と思います。例えば「今日は何着るの?」とか、「これとこれどっちがいい?」とか聞いて、自分で選んでもらう。 そういう意味では、子ども扱いをしないようにしているかな。
あとは応援してあげる存在でいたいなとは思います。 これから彼女が何かやりたいとか進路の話とかあると思うんですけど、話し合って、じゃあどうしたらいいかっていうのを一緒に考えられたらいいな。

身近な大人にサポートしてもらえるのは心強いですよね。
里親さんへのサポートは何かありましたか?

妻:
里親しっかりサポート※というのがあって、委託後から1年で10回ぐらい来てもらいました。来ていただいて、お話することで気持ちがスッキリしたり、疑問が解決したり、助かりましたね。
同じ里親さんが来てNちゃんにも会ってもらうことで、自分のバックグラウンドを受け入れてくというか、一助にはなるのかなって思うので、生い立ちを理解していけるようになる点でもいいのかなって。真実告知※にも繋がっていくことだと思うので。

真実告知はされているのでしょうか。

妻:
そうですね、委託開始からちょろちょろとは。そんなに改まって「今日は話があって」みたいなことは全くしないんですけど、会話の端々に挟むようにしている感じです。「産んでくれたお母さんがいて、お父さんもいるんだよ。」って。あと乳児院から年賀状が来たりもするので、それも繋がっていくかな。まだそこまで理解しているわけではないけど、ちらっと「産んでくれたもう一人のママがいるでしょ」ってことを言ったときがあったみたい。
夫:
「ママが二人」ってね。
妻:
分からないなりに想像しようとしているんだなって感じです。

『当たり前』を吸収している今、自然に受け止めやすいかもしれませんね。

妻:
やっぱり事実は事実ですからね。それをこれから咀嚼して大きくなっていくのは彼女自身で、もちろん反抗期もあったりしてね。 ただ心配してるのは、大きくなって誰にそれを話すのかとか、そういうところですね。もしかしたら周りから心ない言葉を言われることもあるかもしれないですし、やっぱり心配するところではありますけど。
ただ、私たちもそんなにオープンにしている訳ではなくて、保育園でも先生だけ。あとは親しい友人。 信頼できる友人にだけ伝えてるっていうところではあります。それとマンションの管理人さんと、隣の方は迷惑掛けるかもしれないからっていうことで、挨拶したかな。
あと病院。だからなのか、小児科の病院の方も覚えてくれていて、「昨年は大変でしたね。今年はあんまり来なくてよかった。」みたいな感じで、ちょっと声かけてくれたりしてるので、(あ、見守ってくれてるんだな)って感じました。
一緒にお勉強
夫:
心配もありますけど、新しくできるようになった姿は楽しいですよ。近くに小学校がありまして、そこの遊具にスタスタってあっという間に登って行って。でもこちらは落ちないか心配で、落ちたら本当にどうしようって思いながら見守っていましたけど、ちょいちょいって降りてきて。いつの間にか色々できるようになっていて、驚きますね。
韓国の友達や親戚にまだ紹介できていないので、それはこれからの楽しみなんですけど、これから旅行にも連れて行って、いろんなものを見せてあげられたら良いなと思っています。

ありがとうございました。
最後にメッセージをお願いします。

妻:
やっぱり長い目で見た方がいいのかなと思います。いきなり子どもが来て、じゃあすぐ我が子と思ってくださいと言われても、やっぱり時間は必要だと思いますし、今はこうかもしれないけど、もうちょっと頑張ってやってみたら変わるかもしれないし。大らかな心で考えていくと、そんなに行き詰らないのかなって思います。あとは里親でも外に頼る。助けてもらえるところを自分で探したりとか、アクションを起こしていくことが大切だと思います。
夫:
最初は知識が無くても、子どもを育てたい方はぜひ。迎えるととても大切な存在に出会えます。


里親しっかりサポート … 委託予定の子どもと交流中や、新しく子どもを迎えた方など、里親が孤独にならないように先輩里親が行うサポート。未委託スキルアップ支援・面会交流中支援・委託直後支援・特例支援として進学就職のサポートなどがある。
(埼玉県里親会HPより 
https://saitama-satooyakai.jp/support.html )

真実告知 … 自身の出自について「生んでくれた両親は離れたところにいるけれど、この両親(里親)に望まれて家族になった。この両親からたくさん愛されいて、これからもずっと家族。ここがわたしの居場所なんだ」と思えるよう、年齢に合った真実を伝えること。

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