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里親へのインタビュー

里親へのインタビュー
【養育里親】
Oさんご夫婦(夫:Mさん 70代  妻:Aさん 70代)
※2022年5月現在の年齢

一緒に成長することで人生豊かに

Oさんご夫婦は、40年以上活動するベテラン里親さん。様々な事情から家庭で暮らすことのできなくなったこどもたちをたくさん自宅に迎え入れきました。その人数は20人以上!数日~数年と期間も様々。
「子供と一緒に成長することで自分の人生も豊になりました」と笑うOさんご夫婦にお話を聞きました。

プロフィール

夫 … 職業 :経営者 楽しみ:学生時代から続けている卓球のほか以前はバンド活動も。
妻 … 職業 :夫の会社手伝い(助手) 楽しみ:前からやりたかった一時保護の子を受け入れること。

一緒に成長することで人生豊かに

たくさんのお子さんを受け入れて来られたとのことですが、どのようなきっかけで里親登録をされたのでしょうか?

妻:
里親登録をする前だけど、うちの会社の工場に児童養護施設を出た子が中卒で二人、従業員として来ることになったのが最初です。住まいもこちらで用意することになって、当時田舎造りだった自宅の部屋に住んでもらい、働きながら定時制通高校に通わせて、それがきっかけかな。
夫:
懐かしいね。私は兄弟が多かったけど親は自分が食べるよりも子どもを大事にしていて、機会があれば困っている子どもを預かりたいって気持ちがありました。それで、施設を出た子が勤めるところが無いと聞いて、当時就職を頼まれたときに「いいよ」って返事をしたんです。実子が二人、女の子と男の子がいたんですけど、そこに一人、二人来てもいいなと思いました。その後暫くして里親という制度があるっていうのを知って、うちの家庭を必要としてる子がいるんだったら迎え入れようよってことで児童相談に行きましたね。
妻:
30代前半のときだよね。
夫:
実子たちが小学生と幼稚園生ぐらいだったかな。

―それから様々な子どもたちを受け入れてこられたのですね。

夫:
登録をしてから早速委託の話がありました。最初のころ小学校3年生の男の子が来たんですが、いきなり「抱っこ!おんぶ!」って始まったので、これは何だろうって驚きました。ずっと「おんぶ!おんぶ!」って言うから本当に大変でね、児童相談所のワーカーに相談したら「赤ちゃん返りっていうのがあるんですよ」って聞いて、あぁそうなんだって理解できました。
妻:
子どもが足や腕に絡みついて動けないくらいどうしようもないこともありました。最初は分からないことが多かったですね。実子も二人いたから、子どもたち同士で学ぶものもあったんじゃないかな。
夫:
だけど実子にも配慮はしてたよね。受け入れる時に子どもと相談して、でも結局色々な問題は起きるから実子も大変だったとは思いますよね。
妻:
大人も子どもも大変(笑) だけどパパの仕事場が庭先だから、何かあった時は大声で、「パパ助けてー」って言うと飛んできてくれました。大きな声を出せばパパが帰って来られたし、普段私が接する時間の方が多いから、「何とかここの部分を分かってほしい」っていうようなことを話す時間もしっかり取れていました。
妻:
複数の子どもを同時に預かることも多く、子どもの人数が多い時は食事の用意も大変! 家族含めて10人以上の食事の準備に2時間かかりましたよ(笑)。天ぷら揚げるのにも時間かかる。 パンも全部自分で焼きました。子どもたちはすごいお腹を空かせて帰ってくるし。お米も一回六号か七号ぐらい炊いていて。だから冷蔵庫は二台、洗濯機も二台あっていつも回ってたね(笑)

―洗濯機も冷蔵庫も2台ですか?!
とても賑やかで忙しかったと思うのですが意識していたことはありますか。

夫:
当たり前ですけど、子どもたちは「親が喧嘩するのがすごくつらい」って言うんですよね。だから極力、子どもの前では喧嘩はしないように気をつけてました。 
妻:
(笑)いやいや、よくしたと思うよ
夫:
そうかな?
妻:
うん。あとね、学校のこと。子どもが学校行きたがらない時にね、パパがよく子どもの話を聞いて、理論的に解説してくれていました。私はつい「なんで学校行きたくないの?!」って言いたくなっちゃうけど、パパは「何が理由で行きたくないのか挙げてごらん」って話を聞いて分析してくれる。それで子どもは頭と気持ちが整理できてたと思います。ほかにも近所とか同級生と喧嘩したりトラブルになったときは、ウチの子を連れてその家にちゃんと出向いて相手の話を聞いてくれたり、うちの子の主張をしてきたりとか、パパはそういう役。とても助かったな。
夫:
さっきの赤ちゃん返りもそうですけど子どもたちは色々な行動で表現をしてきます。なのでこちらも意識して、子どもの背景やこれまでの経験を汲み取って「分かるよ」って寄り添いながらできるだけ相手に伝えるように努力はしていました。あと里子は実子を見て「羨ましい」と思っていると感じたんです。一方実子は実子で感じるものはあるだろうし、事実関係を客観的に理解できるような、そういう会話の時間を作ったりしましたね。
夫:
他には子どもと一緒に自分も育つという気持ちは大事にしています。子どもも自分も成長していくと、いろんなことがわかってくる。これが面白くて「なるほど!そうだったのか」って勉強になることが未だに多いですよ。
妻:
子どもと一緒に遊ぶことも大事よね。毎週末はよく子どもたちを全員連れてアウトドアに行きました。ローラスケート持って、川遊びだ、釣りだってみんな張り切って。短期で来る子も家にいる間に誕生日が来たら大パーティー。そうすると本当に喜んで子どもたちの気持ちが解放される。だから些細なことでも理由をつけてよくパーティーもしました。

―些細な日常の中で受け止めて、認めてもらえる体験ができていたのですね。

夫:
この半年間で小さい子どもたちが三組来て、みんな1,2か月で帰っていく短期でしたけど、やっぱり愛着を求めてますよね。安心してご飯を食べられる、そんなにひどいわがままじゃなければ好きなようにできる、そういう当たり前の場所が欲しいんですよね。そこが里親の大事なキーワードかもしれない。子どもにとって、どういう場所が本当に必要なのか本質を考えて、それを里親が提供できば良いですよね。大事にされたっていう経験があるか無いかで人生が変わっちゃうから。
妻:
それで言うと、パパはずーっと「食っていくためには稼ぐんだ」って伝えてましたね(笑)
夫:
家庭のモデル、家族の役割を伝えようとね。働く姿は意識して見せてましたよ。仕事場が近かったから職場を見せたり、気持ちがあればできることを体験してもらったりしていました。掃除でも片付けでも棚を整理するでも働いたら、その分はお小遣いで渡して。
妻:
女の子も働くんだっていうことを自分が働く姿を見せて教えて、手に職をつけてさせるのは念願でしたね。 随分前に家を巣立って今はパーマ屋さんをやってる子がいるんだけど、その子のところにこの前来た小さい女の子の髪の毛を切ってもらいに行ってきたの。すごく可愛く切ってくれたんだけど、もうあと何日で帰るのよって伝えたら「数日でもここ(里親)の生活を見せるのは良いよ」って言われました。そういえば巣立った他の子どもも言ってたね。「いつか将来の役に立つから」って。

-様々な人のライフモデルに触れらますね。

夫:
子どもを自分だけのものとして育てようっていう意識で抱え込んでしまうと、ちょっとずれて来てしまう。そうではなくていろんなところと関係して、地域も含めてチームで養育して行くものだっていう認識が大事だと思います。親子だけで子どもが育つのではなく、そこには必ず地域があって、おじいちゃんおばあちゃん、兄弟、ご近所、その幅広い中で子どもがいろんな人と関わりながら育つ。いくら親子といっても相性もあるんですよね。だからおじいちゃんおばあちゃんや近所の人、友達の家に遊びに行くと、「なんか安心する」っていうのがあったりするわけですよ。だから里親もそうやって子どもの色々なコミュニティを大事にして、その中で育てていくことは大事ですよね。

―里親に興味がある・なりたい人へ
~子どもの権利の大切さ~

子どもは愛情をかけられて育つ権利、そして育ててもらう権利があります。
子どものために、子どもをあなたの家に迎えたそのとき、子どもはすごく喜ぶと思います。
そして里親をサポートする体制があるってことも知ってください。
子どもたちを受け入れることによってこちらも教えられるし、悩んだりわからないことがあればそれをどうやってクリアして進むか、展開していくか、悩んだり、人から話を聞いたり、アドバイスを受けたりして、様々なサポートを受けながらお互い成長して変わっていく楽しみが持てます。
だから子どもを育てる楽しみと、ぜひ子どもの権利をよく勉強して下さるといいのかなと思います。

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