里親へのインタビュー
【養育里親】
Eさん里母70代 W君(取材当時中2)
いろいろな里親のカタチPART1
とにかくすごい!
感動…とも違う、ガツン!と衝撃を受けたインタビュー。
フットワーク軽く、今日も世のため人のため、エネルギッシュに活動するEさん。
『困っている誰かの力になりたい』その熱い思いは独身の頃より現在に至るまで、少しもブレることなく一筋に貫かれているから本当にすごい!
今回のインタビューは、実子さんお2人を育て上げてから里親登録をされたという
パワフル母さんEさんのお話しです!
独身の頃から、ずっと福祉系のボランティアに携わっていました。
私の中では『ボランティア=普通の生活』 当たり前のことをやっているという感覚です。
障害者の施設にボランティアに行って、その後職員として働いた経験もあります。
また保護司として、若者の更生にも関わってきて、何事も『現場』ほど大事なものはないと痛感してきました。
定年後も『まだまだ誰かのために』という思いが消えなくて、児童養護施設にボランティアに行きました。なぜかというと、民生委員時代に児童養護施設の研修に行って、こども達とふれあったことがずっと頭のすみに残っていたからです。
しばらくお手伝いしているうちに、施設のホーム長が「Eさん、里親になってみたら?」と言うので、社会的養護を必要とするこどもとずっと関わっていられるのなら…と「はい!」って即答でしたね。主人も賛成してくれて、独立している実子2人も「お母さんがやりたいことならいいんじゃない。」って後押ししてくれて。それがきっかけで里親登録を決め、研修、実習と進みました。
主人と私と5年生から預かっている里子W君(中2)の3人です。
W君が高校を卒業するまで私達は元気でいなくちゃいけないんですよ(笑)
えーっと、15人くらいかな。正式委託はこれまで4人。うちは一時保護を中心にお預かりしています。
凄惨な虐待を受けた子もいました。
最後はみんな、帰りたくない、ここにいたいって言うんですよ。
とにかく心が寂しい子が多いですね。だから我が家に来た子には『心をゆったりとさせてあげよう』というのが私達の思いです。うちに来たら家族の一員ですからね、一緒に食卓を囲んで、楽しくお話をしながら家族だんらんの時間を大切にしています。
こども達はこれまで家族だんらんとは無縁の生活をしてきた子が多いので、自分達が家庭を持つようになって、経験していないからできないっていうことにならないようにしてあげたいなと思います。
小中学生の姉妹を一時保護をした時のことです。
妹の小学女児は、家庭にいた時は学校に行ける状況になかったのでしょうか。ずっと不登校でしたが、うちに来てからは毎日休まず登校するようになりました。5年生で初めて運動会に参加できる!って、すごく楽しみにしていて、毎日リビングでダンスの練習をして…。
当日は家族みんなで応援に行くと、本当に嬉しそうにしていた姿は忘れることができません。
家庭に戻る日、お姉ちゃんが「後で読んで」と私に1枚のノートの端切れを渡してきました。
2人が帰ってその紙を開くと…
「最初は里親の家なんて嫌だと思ったけど、Eさんのところに来れて本当に良かった。これからもたくさんのこども達を助けてあげてください。」って。
あんなになんにもしゃべらなかったお姉ちゃんが、そんな風に思ってくれていたなんて…と感激して、里親をやっていて本当に良かったって思いました。
一番印象に残っているのは、虐待を受けた男の子。
こどもはみんな親から虐待を受けているものだと思っていて、そうではないことを彼はうちで初めて知ったんです。
トラウマなのか寝ていても恐怖を感じて急にビクッ!と起きたり、泣くと実親からすごく怒られるから、泣くのはお風呂の中だけって決めていた子でした。
孫と年齢が近かったから、よく息子や娘の家族と遊びに行きました。
「僕、涙が出てきちゃった。みんな怒らないんだね。みんな優しいんだね。」
息子親子のやりとりを見ながら「いいなぁ…いいなぁ…僕、おじちゃんちの子に産まれたかった」って、しょっちゅう言っていました。本音だったと思います。
実親の事情で児童養護施設に移ることになった前の晩、「ぼくの気持ちなんか、おばちゃんにはわからないでしょ!」って大きな声で思いをぶつけてきて。
あの時、なんて言葉をかけてあげたら一番良かったのか…
今どうしているのか、元気でいるのか…ずっと気になっています。
こどもが帰った後は決まって主人と「もっとこうしてあげれば良かった」「今度はこういう声かけをしてあげよう」とか、毎回2人で反省会をしているんですよ。
何か事件が起きてから、更生のために関わる保護司。行き場のないこどもたちの心の闇。この闇が犯罪を起こす。この流れには繋がりが絶対ある。だから事件を起こす前の、こどもの頃から里親として関わって、心を豊かにしてあげれば最終的に犯罪を犯すことはないと思ったんです。彼らも家庭に恵まれない環境が多いです。
だからうちに来た里子には、家庭のいろいろなことを経験させています。普段の当たり前の生活の積み重ねって、実は一番大事だと思うから。
最近は里親として家庭養育に重点を置いています。人として大切にされた経験、可愛がってもらえた思い出は人としてとても大事で、そういう経験があれば将来社会に出てもなんとかやっていけると私は信じています。
偶然でしたが、一時保護をしたこども達の親を私が保護観察したこともありました。
養育中のW君は自閉症の傾向と、ちょっと発達障害があります。『適当』ということができなくて、なんでも決めた通りにやるという、強いこだわりがあります。私たちもW君のリズムを崩さないよう、自然に彼に合わせています。 W君は朝は7時起床。自分でセットしたアラームでパッと起きて、寝坊することも起こすこともなく7時38分に必ずリビングに降りてきます。夜は入浴後に必ずおやつを食べるのが日課となっていて、歯磨きの時間も平日と休日で時間が決まっています。私たちがW君に合わせているのでお互い苦痛なく過ごせていると思います。
W君は将来、どんな職業が向いているのかな。今は学校でいろいろ職業体験を重ねています。
里親は人間と人間の心のふれあい。里子にとって里親は大きな信頼感、安心感。
こども達が日に日に笑顔になっていくのを見るのが私の最高の癒し。
こどもの笑顔をみるたび、里親になって本当に良かったなって、やりがいを感じます。
時には大変な時もあるでしょうけど、それを乗り越えていい方向にもっていけた時の喜びを、これからの里親さんにはぜひ味わってもらいたいです!
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