自分たちにもできるのか?
男性カップルであるK真さんとA介さんは、現在小学1年生のR君と保護猫たちと一緒に生活をされています。K真さんとA介さんから溢れる愛情を一身に受けているR君。このインタビュー時もR君は同席して、ゲームをしながらどこか照れながらお二人の話を聞いていました。
里親登録のきっかけや実生活まで、ユーモアたっぷりにお話しいただきました。
―里親になろうと思ったきっかけをお聞きしてもよろしいでしょうか。
- K真さん:
- 元々2人とも子どもはすごく好きだったんです。それでK真が市報で里親の募集の記事を見つけたんですよ。 でも、我々は里親制度をあまり知らなかったですし「自分たちは、そもそも登録できるのか?」という思いはありました。
- A介さん:
- そうだったよね。
- K真さん:
- でも、説明会だから話を聞くだけなら参加してみても良いんじゃないかな?と思って、電話で問い合わせたら「大丈K真さんですよ」ってお返事だったんです。なので、行ってみようかっていう流れでした。
―里親になろうというのは、いつごろから話していたのでしょうか?
- A介さん:
- 自分の職場に里親さんがいるのですが、その方は里親登録してから数年して委託のご縁がやっと話が来たそうなんです。なので、そのくらい待つ場合があるんだなっていうのは知っていました。自分には子供はできないなって分かっていたけど、やっぱり子どもは好きだったので幼稚園で働いて、今は学童にいるんです。
K真も「子どもは欲しいな」「家庭を築きたいな」って話はよくしていいました。でも、なか踏み出すきっかけが無くて、今回の市報を見つけたのがきっかけですね。
―実際説明会に参加してみていかがでしたか?
- K真さん:
- 説明会自体、我々が行っていいのかなっていう気持ちは多少ありました。でも参加してみて「我々でも里親ができるんだ」ってことが大きかったですね。なので「じゃあ行けるところまで行ってみよう」って進めていった感じです。実際にやりながら、もし難しくなればストップすればいいかなっていう気持ちでした。
コロナの支障はありましたが登録まで進むことができましたね。
だけど、正直最初は居心地良くなかった(笑)
- A介さん:
- 周り見たよね。「意外と若い人多いね」とか。でも児相の人にお話を伺って、この組み合わせでもいけるかと聞いたら「大丈夫ですよ」って言われたので、「やってみよう」って感じでした。
- K真さん:
- 我々は全国的にも特殊というか、あまり無いパターンだったのですが、児相の方がすっごく親身に話をしてくれました。我々としても、どんな形であれスタートできるならばっていうので進み続けてきた感じですね。
―それは心強かったですね。
- K真さん:
- 自分は結構、悩んでも仕方がないことに悩むことが多いんですよ。まだ子どもがいない状態で 里親さんたちとのレクレーションに参加した時もすごい萎縮しちゃって。端っこの方に佇んでいたり。
- A介さん:
(笑) 各家庭の自己紹介の時間のとき、K真は「どうしよう」って言ってぐずぐずしてたんですよ。でもいざ始まったら「我々、怖くないですよ」って話し始めて。自己紹介だけすれば良いのに、目立ちたいんだが、目立ちたくないんだか(笑)
- K真さん:
- いや、面目ない(笑)
- 一同:
- (笑)
―登録後はどのような流れだったのでしょうか。
- K真さん:
- 登録から少しして、委託のお話があったのは12月25日のクリスマスでした。それで年明けの1月に顔合せをしたんです。Rくんは新1年生になる年齢だったので、3月から一緒に生活することを目標に交流を開始しました。
―Rくんと会った時の第一印象は覚えてますか。
- K真さん:
- 大人しい子だなと思いました。人見知りというか、話しかけても「うん」とか「うんうん」っていう感じでした。活発というよりは、ちょっと内側に秘めている印象ですね。 でもね、写真の笑顔がすごく素敵だったんですよ。笑うとすごく可愛い。その時も折り紙をしていたんですけど、上手く折れてちょっと笑ったんです。それがすごい可愛かったー!
- A介さん:
- 同じく、やっぱり可愛いなと思いましたよ。最初から喋る子はなかなかいないじゃないですか。だから少し話しができればいいな、ぐらいに思っていたんですけど、ちゃんと目も合わせてくれたしね。
- A介さん:
- 交流で印象に強いのは、家にきていきなりソファでしっかり寛いだことかな。初めて家に来たときだったと思うんですけど、最初から馴染んでいて(笑)
それで、確か焼きそばを食べたんですよ。
- K真さん:
- そう。あの時まだ何も考えてなかったから、大人と同じ量作っちゃって、それを全部食べた(笑)
(嬉しそうに話を聞いているR君)
- A介さん:
- それからほぼ週一の交流を経て、一緒の生活が始まったんですけど、最初は勉強が苦手でしたね。読み書きも難しかった。宿題も1人では取り組めなかったので、一緒についてましたね。「わかんない!」って感情的に怒ることも多くて、「そっか」って受け止めながら、しばらくするとスッと落ち着いて取り組み始めるんですよ。
―そこはずっと付き合ってあげるんですね。
- A介さん:
- そうですね。付き合わないとやってくれないから(笑)
こちらも夕飯作りたいから「落ち着いたらおいで」って言うときもあるんですけど、結局くっついてくるので放っておけないんですよね。
今はだいぶ勉強も追いついて、学校の準備も出来るようになりましたよ。時間割見て、今日は何曜日だから何が必要で、って。よく頑張っています。
―委託が始まり生活は変わりましたか。
- A介さん:
- 変わりましたね。自分がまず仕事を時短にしました。だから普段Rくんといる時間はK真より自分の方が長いですね。
- K真さん:
- 仕事の面で言えば、自分も昨年に転職したんですけど、会社に里親をするってことを全部伝えていたんです。働き方に対してすごく自由に、フレキシブ対応してもらえる会社なのでリモートを併用しながら働けています。理解のある会社でよかった!
以前、二人生活時の食事は僕が作っていて、食べる時間も自由でした。20時過ぎとか…。でもR君が来てからはそういう訳にもいかないので、今は食事含め、家事全般A介がしてくれています。
- A介さん:
- 僕も一人暮らしが長かったので、元々一通りの家事はできました。ただ、当時は食事をを作るよりも買って、他のやりたいことに時間を使えた方がいいなと思っていましたが、やっぱりRくんが来てから変わりましたよね。
―生活をしていく中で、考え方の違いや意見のぶつかり合いなどはありますか。
- K真さん:
- あっても、大きなずれではないかな。お互いがお互いを思うがために、どちらにもそれぞれの考えがあるから…。ことによっては、悪いことではないと思っています。例えばRくんとの入浴で体を洗うのも、それぞれ全然違うんですよ。A介は自分でさせてみる。自分の時はやってあげる。Rくんの甘え方の違いみたいなのもあるんですけどね。
やっぱり普段Rくんを見ている時間はA介の方が圧倒的に多いですし、基本的にA介を信頼しています。でも、どうしても納得いかない時は「ねえ」ってボソっとA介に伝えるんですけど、意外にそれを「そんなの別に大したことじゃないよ」ってポンと軽く返されたりするんですよ。そうなると、「あぁ、あとは自分との戦いか」と、自分に言い聞かせる(笑)
- A介さん:
- 最初の頃は時々なんか言ってたよね(笑) 今はあんまり聞かなくなったけど。
- K真さん:
- 元々二人でいる時の事で、例えば猫が来た時に「毛が、毛が…」って気になって、どうしようと思って毎日毎日コロコロをやっていた。「ねぇ、毛…毛なんとかならない? 毛ぇ…。 そっか、じゃあせめてさココ、コロコロやらせてよ。ね?…ダメかぁ~!? そうだよね、関係無いもんね。」って猫に話しかけた時もあった (笑) でも、これはもう「しょうがない」って、どこかで受け入れていかなきゃいけないから、徐々に徐々にやる回数を減らしていったりしました。
- A介さん:
- 自分の中でモヤモヤしてるだけだもんね。それは「仕方ないじゃん」って言って終わるよ(笑)
- K真さん:
- それで今、R君を迎えて。…あのね、RくんとA介が先に打ち解けてて、なんだか気持ちの整理がつかなかった。1番に打ち解けたい訳じゃないんですよ。だけど、三人でいるときにRくんがA介の方を向いてるんですよね。それが寂しくて…。
- 一同:
- (笑)
- K真さん:
- だから最初は我慢できなくて「寂しい!」って伝えてたんですけど、これを言い続けるのは良くないんじゃないかと思って。子ども表現は素直な気持ちだし、ちゃんと自分の相手もしてくれる。あくまで本人がやりたいようにやってるだけだから。でも…この気持ちをどうしたら良いんだろう、って繰り返している感じです。傷ついたり へこんだりするこの感情はどこにもぶつけられないけど、どう整理していいのかわからない。けれど Rくんが悪いわけじゃないって。
それで悩んだ結果、自分は1回『お手伝いさん』になろうと思ったんです。
こんな家族になりたい、って自分の理想があるから、そこから一度離れないと一向に自分の心のモヤモヤが取れないと思って。だから自分はお手伝いさんって思うようにして、1回ちょっと落ち着いてたんです。でも、お手伝いさんになっても「いやいや、家族じゃん!?」って葛藤はあって。だから、もうそのままモヤモヤをA介に言ったけど、「 フフッ」って鼻で笑われて。
- 一同:
- (笑)
- K真さん:
- そうだよね、自分が勝手に思ってるだけだよね。って、ビール持って来てプシュってっ開けて(笑)。それを結構やってます。
- 一同:
- (笑)
―物つい感情的になってしまいそうですが、以前からこのような考え方だったのでしょうか。
- K真さん:
- いいえ。大人同士ってそもそもネガティブなことがあったら、前向きな意味で関わらなければいいじゃないですか。そんなことになるなら離れたらいい。もっと言えば議論の余地がある。でも今回は議論の余地がないパターンだった。
自分の中のモヤモヤだから話し合いもしてないですし、これは「自分の気持ちを吐露する」だよなと思っていて。だからといって聞いてもらいたいわけでもないんですよね。自分の思い通りにならないときって、今まで自分が経験してきていないことだから、必ず葛藤が起きるんですよ。だけど、これは自分で消化していく以外に方法ないと思って。
―相手を変えるんじゃなくて、自分の中で処理するしかないという考えに至ったんですね。
- K真さん:
- もう慣れですね。自分の中では、その繰り返しで慣れていく。
―いい意味の諦めみたいな感じですかね。
それにしてはRくんも随分K真さんに甘えているように見えますが…
(インタビュー途中、K真さんにおんぶをしてもらってトイレに向かったRくん)
- K真さん:
- 10あって、1甘えてきたら「あとの9は!?」みたいな気持ちになっちゃう。 本当に自分のわがままだってのは分かっています(笑)。
―逆にRくんの甘えが1ぐらいっていうことは、残りはA介さんの負担になることもありますか。
- A介さん:
- ありますよ(笑) でもそれは役割ですよね。
さっきR君がトイレに行くときはK真を頼っておんぶして連れて行きましたけど、お風呂も朝起こすのも「A介がいいー」って言ってきます。
一度だけ一人でお風呂に入るように伝えたことがあって。以前の生活でも一人で入っていたみたいなので、できるんですよ。でも一緒に入りたいって言ってるのに一人で入らせるのも何か違うなって気がして、それからは一緒に入ってますね。
―R君を迎えてから、お互いの知らなかった一面などはありましたか。
- K真さん:
- ああ、ありますね。強いなって思いました。子どもに対しての決断力とか、対応力ですね。我々は結構のほほんと生きてきたんですけど、決めるところはパパっと決めるし、パパって動くし。元々そういう一面はあったんですけど、より機敏に決断して動いてくれますね。早く決めなきゃいけない事象も増えましたしね。子どものイベントとかお互いの生活の日程調整だったり。旅行するにも色んな部分をどんどん決めないと 間に合わなくなっちゃいますしね。
- A介さん:
- 子どもを交えたイベントなんて明日急に「じゃあ、それ行こっか」なんて、できないじゃないですか(笑) まして混んでるとこに行くわけだから、子どもがいるならもっと早く決めなきゃっていうのを、委託されてから気づきましたね。
- K真さん:
- ありがとうございます(笑)
- A介さん:
- K真は…変わらないですね(笑)そのままです。
- K真さん:
- 良いってことだよね??
- 一同:
- (笑)
―社会との関わりで変化はありましたか。
- K真さん:
- あります。買い物に行ったとき、これまで玩具売り場や子供服って一切見なかった。自分の視界に入ってなかったんですけど、いざ委託が始まるってなった足を運ぶじゃないですか。それで売り場を見た時の衝撃がすごかった。「こんなにあるの!?」って思わずテンションが上がりました。
あと本当に思いのほか、周りの皆さんがちゃんと受け入れてくださるので、 それもびっくりしました。自然とお話も聞いてくれますし。
- A介さん:
- そうなんだよね。
- K真さん:
- 学校でも、町内会が同じママさんでも、お隣さんでも仲良くしてくださるし挨拶もしてくれる。いい意味で距離感を保っていてくれますし、 それはすごくありがたいですね。びっくりしました。
―里親さん同士のお付き合いはありますか。
- A介さん:
- ここはすごく意識したよね。やっぱり特殊だからこそ、積極的に顔を出して、「自分たちはこういう人たちです」「こういう性格です」っていうのを分かってもらわないと、とは思っていました。
―隠れるのではなくて、出ていこうと。
- A介さん:
- その方がいいんじゃないかなと思ってイベントや会には参加していますね。
- K真さん:
- 最初は、僕らがちゃんと接してれば別にいいって思ってたんですけど、里親というものがまだ少ないじゃないですか。それで、例えば子どもは子ども同士でコミュニティがあって、その中で「なんで苗字が違うの?」とかを聞かれたときに、事情を知っている大人がいればフォローしてくれるでしょ。だから、守るんじゃなくて攻めなきゃいけないと思ったんです。
なので基本的に機会があるものについては参加していますね。
Rくんが熱を出した時も先輩里親さんに電話して相談させてもらいました。
困ったらすぐ聞けるネットワークも有難いよね。
―今年の夏のレク旅行も大活躍されて聞いております。
- A介さん:
- 夏に1泊、地域の里親会で旅行に行きました。その時、よそのお子さんがレクでコントをやりたいって話していたみたいなんです。それで「お手伝いしてくれませんか?」って里親さんからlineが来たんですよ。もちろん「いいですよ」ってお返事して、コントをやりました。お子さん二人と自分の三人で、稽古してね(笑)
里親さんたちにベストをお借りしたり、音響もやってもらい、道具も集めて。台本も里親さんが書いてくれて。とても楽しかったですよ。
―すっかり溶け込んでますね。
R君にはこの先、どのように育って欲しいですか。
- K真さん:
- A介と同じなんですけど、自分で考えて自分で決断できる人になってほしいと思っていてます。なので言葉の責任対してはしっかり伝えていますね。言葉って簡単にパパっと言えちゃうし、それによって人を傷つけたり、傷つけられたりもするから。自分に責任を持ってることが大事だと、そこは常に意識してますね。
あとは、普段の生活の中で疑問に思ったことはなるべく一緒に考えて、答えてあげようとしてます。本来だったら調べさせた方が良いっていうのはあるんですけど、まだそこまでいかないので、まずはその疑問を解決してあげる。 その先に自分で調べたいってなればいいと思ってるので、今は一緒にやってるところですね。
―ありがとうございます。
最後にメッセージをお願いします。
- K真さん:
- やっぱり子どもの人生を預かるので、軽い気持ちでは進めないとは思うのですが、その先には自分が思いもよらなかった楽しいことや発見があります。
それはとても大きいし、毎日がとてもありがたいなって思う瞬間は本当に多いです。
- A介さん:
- たまたまかもしれないですけど、里親をやろうっていうところからここまでで、助けてくれる人はすごくたくさんいました。だから 迷っているんだったら、とりあえず進んでみて、いろんな人に相談したり聞いてもらえばいいと思います。どんどん相談して迷いながら、とりあえず進でみるのがいいと思います。
―最後にRくん。3人で過ごしてる時に、何をしてる時が 1番嬉しいなって思いますか。
- Rくん:
- うーん、ぜんぶ~♪ ぜんぶ!!
どうもありがとうございました。