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養育里親のおはなし

養育里親のおはなし
【養育里親】
Gさんご夫婦(夫:Eさん 60代  妻:Hさん 60代) 
※2023年4月現在の年齢

答えなんて悩んだってわからない

Gさんご夫婦はファミリーホームとして現在5人の子どもたちを受け入れていらっしゃいます。
取材の日、中学校に通うお子さんが体調不良のためインタビュー中に学校からお迎えの連絡が入り、ご夫婦で連携され夫のEさんがお迎えに向かわれました。帰ってきたのは中学2年生の女の子。まだファミリーホームに来たばかりで慣れないことも多いそうですが、里母が温かく迎えられて、緊張と安心の混ざる女の子の笑顔が印象的でした。
そんなファミリーホームでの生活の様子や、どうして里親になり、子どもたちと生活をするようになったのか、お話をお聞きします。

里親を経てファミリーホームとしてお子さんを迎え入れられていますが、現在一緒に暮らしている子どもたちの年齢を教えていただけますか。

妻:
小学4年生の女の子、中学1年生の女の子、中2の女の子、高1の女の子、高3の男の子と一緒に暮らしています。

5人のお子さんと暮らしていらっしゃるのですね。
どのような経緯で里親になろうと思われたのでしょうか。

妻:
元々大家族に憧れていたんです。自分が育った家庭環境があまり良くなくて、実は15歳で仕事を見つけ、寮生活を始めて一人で生活をしていました。なので、幸せな家庭が欲しかったという気持ちがとても強かったんですよね。
その後20歳で結婚をして、主人と「10人子どもを育てたい」って言っていたぐらい。でも産めなかったんです。実子は2人いるのですが、私が不育症で4人流早産してしまって。実子を授かるのに8年も掛かりました。不妊治療もしていましたが、何回も流産をしているからお医者さんに「もう体が無理だよ。止めなさい。」って言われてしまったんです。それで、その時にたまたま役場に行って目にした里親のポスターを見て「里親になろう」って思いました。
実子が中学3年生と中学1年生ぐらいだったかな?
夫:
そうだね。
妻:
大きくなった子どもたちからOKが出たので登録に進みました。

登録の時点でお子さんについて希望はありましたか。

妻:
実子もいるのと農家なので親戚も多く、養子縁組は難しいという事情のため養育里親で考えていました。子どもについて年齢や性別の希望は全くなくて、例えその子の背景やどんな事情も、その子であることには変わりないので気にせずどんな子でも、という気持ちでしたね。

登録から最初の委託まではどのくらいだったのでしょうか。

妻:
初めての委託は登録から2年目だったかな。2年過ぎても全然連絡が無かったので「あ、もう来ないな」と思って、仕事を始めようとしていたんです。それで面接日も決まったのですが、その前日に児童相談所から連絡がありました。もう子どもは来ないんだなって思っていたから仕事をする気満々だったんですけど、パパにも子どもたちにも「どうしよう」って相談をしたら「里親をやりたかったんでしょ?」って言われました。「うん、そうだよね。そうだった」って正直な気持ちを思い出して、仕事の面接をお断わりしました。だからあと1日連絡が遅かったら、児童相談所の連絡をお断わりしていたかもしれません(笑)。

実際委託が始まってみてどうでしたか。

妻:
実子の子育てがすごく楽しかったんですよ。手が掛からないというより、やっと授かった子だったので、もうとにかく可愛くて可愛くて。とにかく子育てが楽しかったんです。その延長で、大丈夫だなって思って一緒に住み始めたら、全く違う生活が始まっちゃったんです(笑)

きっと様々な変化がありますよね。
お庭に干されていた洗濯物の量もとても驚きました。

妻:
普通の家庭ではなかなか無いですよね(笑)あれは全部主人がしてくれているんですよ。私が地域の里親会の役員などをしているので、定年した主人が全部を引き受けてくれて、とても助かっています。
夫:
洗濯機は大きいのを2回、日によっては3回まわすかな。金曜日なんかは大変だけどね(笑)
妻:
でも食事の量は落ち着いたよね。子どもたちによって食べる量は違うけど、多い時は二升炊いていましたよ。三杯も四杯も食べる子が居たときもありましたね。なのでおかずの量も多く必要だから、バイキング形式で「お腹いっぱい食べてね」って伝えて出してます。
そうそう、お米研ぎも主人がやってくれていて、その日の料理を見ながら分量を調節してくれるんです。 他にも野菜を作ったりお花のお手入れするのも、子どもたちが主人を手伝って作ってくれていて。子どもたちが本当によく一緒にやってくれるんですよ。

―そんな生活の中で印象的だったことはありますか。

妻:
出来事ではないのですが、家に来るほとんどの子がこれまで安心した生活を送っていない子だったので、来たばかりの頃は目つきが鋭くて、喋っていても無表情だったり、中高生はあまり笑う子が居ないなっていうのが印象的でしたね。でも一緒に生活をして数週間経つと、やっと笑顔を見せてくれるようになって、それはやっぱり嬉しいです。

―来たばかりの子は緊張もあると思うのですが、何か関わり方で意識していることはありますか。

妻:
何か意識していたことってあったけ(笑)
夫:
うーん、なんだろうなぁ。なるべく気を使わせないようにはしてたかな。
妻:
そうだね。とにかく「可愛い」っていう気持ちと、その子が「苦労してきている」ということを、いつも主人と話していて、その理解を忘れずに普通の家庭生活を体験してもらってるという感じですね。
夫:
こちらも自然に過ごすことかなぁ。
妻:
子どもの機嫌を取るようなことはしてないよね。好きになってもらおうという理由で何かすれば、それは無理が生じてきてしまうし、時間は掛かるけど無理に近づこうとせず頑張り過ぎず、その子を信じて関わっているかな。
他には、その子それぞれ個性があるので、それを潰さないようには気を付けています。危険で怪我をするようなこと、人に迷惑を掛けるようなことだけはいけないと伝えていますけど、その他についてはその子に任せて、自分で考えられるようにと育てています。そんなところくらい。後はもう自由かな(笑)
子どもたちに「どうしていつも笑ってるの?」って良く聞かれるんですけど、笑っている方がいいじゃないですか。だから、「ママはいつも笑っている方が幸せになると思うよ」ともよく言っていますね。でもそれが子どもたちは不思議みたいですけど(笑)

―自分がどんな状態にあっても変わらず笑顔で側にいてくれる大人の存在は、とても安心感がありますよね。
G家のルールはありますか。

妻:
ご飯の時間、お風呂の時間はある程度決まっていて、あと週に1度はお部屋の掃除をしようっていう3つだけは決まりとして伝えていますね。
何ができるかな?

―里親になってご夫婦お互いの変化はありましたか。

夫:
妻は小学校の役員をしてから随分変わりました。とても外交的になって周りとのコミュニケーションも活発で、すごく楽しそうですね。
妻:
私は農家の家に嫁いだので、子どもを産めなかった時に「出て行ってくれ」ということを言われてしまったんですけど、主人が「そんなことはさせない」ってすごく守ってくれたんです。でもそこから私の中で自信が全く無くなってしまって。
子どもが小学校に上がって役員になったとき、自分の中で自信を取りも戻せたというか、とっても楽しく過ごせるようになったんです。
自分自身揺らぐのやめよう、揺るがないでいこうって思えるようになりましたね。
今とても楽しいですよ(笑)

―ご主人さまは?

妻:
むしろ何も変わらない人です。楽観主義というか細かいことにクヨクヨすることは無く、「大丈夫なんだよ」って、必ず解決するって信じて後戻りをしない人なんですよ。
私は色々考えてしまうのですが、「考えても解決する訳じゃないでしょ」って。前を見て乗り越えて、変えていくしかないよね、って言ってくれて助けてくれる人なんです。
昔から変わってないから、守ってくれて後押しをしてくれて、本当に感謝しています。 そして羨ましいですよね。本当何でも楽しそうなんですよ(笑)
夫:
答えなんて悩んだってわかんないじゃない。
妻:
そう!いつもこうなの(笑)
子どもたちにとっても、私より主人の方が話しやすいみたい。私は叱ったりしますからね(笑)それもあって言い辛いことは主人に話したりしてるみたいですよ。だから子どもたちも「パパ、パパ」なんです。

―それはきっと子どもたちがご夫婦でよく話をしている姿を見ているからでしょうね。

妻:
そうかもしれませんね(笑) だからいつも子どもたちの前でも「パパが一番好きだから」「パパありがとう」って言うのは口癖でよく言っています。
とにかく二人とも楽しそうにはしてるよね(笑)
夫:
うん(笑)
妻:
そあ、でも子どもたちが色んな場面で小さい手紙に「ありがとう」って書いてくれるんですよ。言葉が少ない子でも急に「ありがとう」って手紙をくれたりするんです。それがすごく嬉しいですね。

―お子さんを育てられているなかで、心強いサポートはありましたか?

妻:
本当にたくさんの人たちに助けてもらいながらですが、その一つに里親しっかりサポートというものがあります。里親に登録してから、実際に里親さんとはどういったものか、子どもが来たらどういった生活なのかを知ってもらうためのサポートですね。里親登録後、委託前、実際に子どもとの交流が始まったら、そして委託中など、その都度先輩里親さんがサポートしてくれています。<>br/ 堅苦しいものではなくて、実際に子育てが始またらお家に先輩里親が会いに行って悩みを聞いたり、先輩里親が体験談を伝えたり、同じ仲間同士でサポートする体制があります。
行政や地域の力も借りながら、同じ立場の仲間もいるサポートなので、一人で抱え込まないで欲しいなって思っています。

―身近に相談相手がいると心強いですね。

デコレーションも慎重に

―里親を始める前の自分に声を掛けるとしたら

妻:
夢が叶っているよ、かな。あとは…その頃はとにかく必死で、食べられるか食べられないかの生活をしていたので、「食べられるようになったよ!」でしょうかね、おかしいでしょ(笑)でも食べられて、屋根のあるところで寝られることが本当に幸せだと思っているので、それが叶っています。
そして自立をした時から、結婚したらぜったい幸せな家庭を築きたいって思っていて、優しいお母さんになりたかったんです。だから私はとても幸せです。

―最後に、メッセージをお願いします。

社会的養護を必要としている子どもたちは「お父さん、お母さん」や「家庭」というものを知らない子どもたちが多くいます。そのなかで、お父さんお母さんや帰る場所と、何気ない毎日を「あなたが大事だよ、大切だよ」って言ってくれる人たちを待っている子どもたちがたくさんいます。
少しの迷いがあっても、もしやってみたいという気持ちを持っていたら、ぜひ一歩踏み出してみてほしいなと思います。
助けてくれる人たちはたくさんいます。悩んだときもみんなが助けてくれて、相談できる場所もいっぱいあります。
ぜひ安心して飛び込んでみてください。

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